会長メッセージ

令和2年5月22日

公益社団法人 全日本銃剣道連盟
会長 番匠幸一郎

 銃剣道・短剣道を愛する全国の剣友の皆様には、如何お過ごしでしょうか。

 さて、皆さんご承知の通り、新型コロナウイルス感染症の猛威は世界中に拡大し、国内においてもその影響は医療・衛生の分野から日常生活・教育・社会・経済活動など広範囲に及んでいます。4月7日には7都府県に緊急事態宣言が発出され、4月16日には全国に拡大されました。そして「2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の延期を含め、様々なスポーツ関連の競技大会やイベント等も中止や延期を余儀なくされています。

 全日本銃剣道連盟としましても、新型コロナウイルス感染拡大の動きを踏まえて、早い段階から事業への影響を分析しながら先行的に対応を図って来ました。4月10日には「新型コロナウイルス感染防止のお願い」を発出し、稽古要領の工夫や感染防止対策などについてお伝えしたところです。そして、4月19日に開催を予定していた「第64回全日本銃剣道優勝大会」の開催を中止するとともに、全国から参加していただく令和2年度定時社員総会や通常理事会を書面による表決に変更するなど、感染防止のために様々な措置を取っております。これまで、全国各地で銃剣道の振興発展と各種大会の準備等にあたってこられた関係者の皆様には、これらの事情へご理解とご協力をいただいておりますことに心から感謝申し上げます。また、会員の中で防衛省・自衛隊の皆様、医療関係の皆様などには、新型コロナウイルス対応のため日夜献身的に素晴らしい活躍をされておられることに、連盟を代表して深く敬意を表します。

 しかしながら、国内の感染状況は依然として予断を許さず、7月から8月に開催を予定していた「第32回全国高校生銃剣道大会」「令和2年度全国少年少女銃剣道・短剣道錬成大会」「第51回全日本青年銃剣道大会」「高松宮記念杯争奪第28回全日本銃剣道選手権大会」の夏の4大会についても、今年度は全て中止とすることと致しました。平素から、これらの大会を目標に努力し錬成を重ねて来た全国の選手・指導者・ご父兄はじめ関係者の皆様には、大変悔しく残念な思いをされていることと思います。このような状況の中、新型コロナウイルス感染症の影響に直面して私たちはどうすれば良いのでしょうか。そのために考え、心掛けるべきではないかと思うことを以下の通りあげてみました。

 その第1は、自らの感染防止と健康管理の重要性です。

 一時期に比較すると感染者数が減少傾向にあり、また、一部地域での緊急事態宣言の解除などによって、新型コロナウイルス感染への警戒感が希薄になるとの意見もあります。しかし、未だこのウイルスへの特効薬やワクチンの開発は実現しておらず、完全な終息への道筋も見えていません。政府は、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え感染拡大を予防する「新しい生活様式」に移行する必要があるとしています。これは、銃剣道・短剣道の錬成にあたっても十分考慮しなければならない点であると考えています。まず何よりも自らが感染せず、他人に感染させないことが大切であり、また、平素から健康で健やかな心身を維持すること、つまり健康管理の重要性は言うまでもありません。

 その第2は、今だからできること、今こそすべきことの実践です。

 今私たちが直面している制約や逆境を、むしろプラスに転じて、自らの成長と銃剣道・短剣道の修養のために貴重な時間を与えられたと考えることができるのではないでしょうか。道場でなく自宅・自室や屋外で、対面の試合ではなく素振り・足さばきや筋力トレーニングなどで、本当の実力を伸ばすために出来ることはたくさんあると思います。また、銃剣道の歴史や銃剣道・短剣道修行の指標・本旨、教則や試合審判規則など銃剣道・短剣道の理論などについて改めて勉強し再確認する貴重な機会ではないでしょうか。更に、スポーツ庁や日本オリンピック委員会、他の武道団体や、プロ・アマのアスリートたちのコメントなどをSNSやホームページから検索して、スポーツに関わる仲間たちの思いを共有することも有意義ではないかと思います。そして、こうした中だからこそ、銃剣道・短剣道修行の指標にある「たゆまない努力によって心身を鍛錬陶冶し、規律を守り、礼節を尊び、信義を重んじる等、社会人として必要な道徳性を高め、もって正しく、明るく、強く、逞しい、人間形成を目指して精進する」ことを実践し、「心の稽古」ができる絶好の機会になるのではないかと確信します。

 第3に、銃剣道・短剣道を発展させるための好機にすることです。

 私たちの先輩は、昭和20年の終戦によって銃剣道が禁止された中から、多くの苦難を経て全日本銃剣道連盟を結成し、現在の発展まで営々と努力を続けて来られました。当時のご苦労に比較すれば、今回の新型コロナウイルス問題によって銃剣道・短剣道そのものが禁止されるわけでもなく、感染拡大防止のための一時的な事業の中止や制約はあっても、我が国を代表する9武道の一翼を担う重要な競技としての位置づけには全く変化はありません。むしろ、この機会に会員相互の結束と会員の増勢、ジュニア層への拡大、女性の参画拡大、国際化への取り組みのための理論や制度の強化、様々なメディアを通じての銃剣道・短剣道の魅力の紹介など、銃剣道・短剣道を発展させるためにできることを、全国の剣友の皆さんと心を合わせて、しっかりと進めて行きたいと思います。

 春の来ない冬はなく、朝の来ない夜もありません。いつもの道場で、思う存分声を出し、動きぶつかり、精一杯稽古し、また、日本武道館など大舞台で多くの観衆が応援する中、試合で剣を交えることができる日が遠からず必ず来ます。ピンチをチャンスととらえて、今この時を剣友一丸となって頑張って行きましょう。

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